ひょんなことから、
以前勤めていた教室の生徒さんと、そのお母様からお別れの時にいただいた手紙を読み返す機会に恵まれ、
改めて読んでみると、あたたかで愛にあふれた手紙の内容に人知れず涙を流してしまいました。
お別れは私の引っ越しの都合であったので、当時は私が泣くわけにはいかないのだと気丈にふるまっていましたが、
今は、ただ昔を懐かしむとともに、その時に味わい足りなかったことを思う存分噛みしめています。
手紙には、「私はピアノがなによりも自由で、人の心をいやす『ちから』をもっていると思います。」
と書かれていました。当時小5の女の子の言葉です。
ほんの少しだけ抜粋してみたいと思います。3枚にわたって書いてくれた手紙の一部分。
「学校でイヤなことがあっても、ケンカしておちこんでいるときも、一番の味方がピアノでした。
友達にだって話したくないなやみだってあります。でもピアノをひいているうちに、『きらい』とか『ひどい』とか
『むかつく』の気持ちがだんだんやわらいできました。」
そしてその先には、私が今でも勇気づけられる言葉が書いてあるのですが、
それはあまりに大事で宝物のような言葉なので、私の胸の内にしまっておこうと思います…!
ピアノが一番の味方
これは私も幾度となく経験してきたことで、どれだけ救われてきたことか。
(話の腰を折るようではありますが(汗)
専門的に学び始めてからはそれと同じくらい苦しみ、敵だと思い込んでた時期もありました(^▽^;)
本当はそんな風に思わなくても良かったのに自分で自分に呪いをかけていたな、というのが今の率直な気持ちです。)
まさか自分の生徒さんも同じように感じてくれていたとは。
いや、今までだってきっと何人もそう感じてくれていた子は確かにいたはずなのですが、
改めて言葉にして伝えてもらうと、なんだかピアノの先生冥利に尽きるなと思ったわけです。
時には、努力を重ねる場面で疲弊したこともあったでしょう。
弾けなくて落ち込んだり悩んだ時もあったでしょう。
それでも、ピアノを弾くことが自由で心がやわらぐものだといえることに、ただただ感激しました。
この心の支えがいつまでもなくならないで、彼女の人生を輝かせるもののひとつであって欲しいなと願っています。
たとえいつかレッスンをやめる時が来ても、その心の支えが自分にはあったのだという事実は消えませんから…
そして私は、
自分の味方であるピアノでも
自分を癒すピアノでも
刺激を求めるピアノでも
自分ではなく、人に届けるピアノでも
手紙はまたすぐ読めるように、楽譜棚のよく見えるところに大事にしまっておきたいと思います。